なぜ東武野田線には単線区間と複線区間があるのか

動機

開智中学校に通うようになり、東武野田線を利用するようになった。

自分の身の回りにある路線は、複線がほとんどだったため、野田線に単線区間があることに疑問を感じ、調べることにした。

仮説

A.その区間の乗降客数が少ないため。

B.野田線はもともと単線であったため。

C.乗降客数が増えた駅を複線にしたため。

駅のホームに停まっている電車自動的に生成された説明

検証

  1. 野田線の歴史を調べる。
  2. 野田線の駅別乗降客数を調べ、単線区間と複線区間で比較する。
  3. 単線区間に実際に乗車し、沿線について調べる。

※単線区間は、春日部~運河間である。

 東武60000系(野田市駅で撮影)

結果

  1. 東武野田線は明治時代に野田から柏まで醤油を運ぶため、千葉県が建設した県営鉄道が始まりであり、この払い下げを受けた北総鉄道(現在の東京都東部から千葉県北西部を結ぶ北総鉄道とは無関係)が大宮まで延伸して総武鉄道となり、戦時統合で東武鉄道の路線となった。
  1. 下表より乗降客数を見た上で乗降客数が多いところを中心に、周辺地図を照らし合わせてみると、私立の学校や大きな工場などがあった。周辺に何もない駅でも、乗換駅であったり、人口が多い土地であったりした。単線区間と複線区間で考えると、単線区間は乗降客数が少ない駅が多かった。複線区間は乗降客数が多い駅が多かった。

東武野田線乗降人数(2020年1日平均)

駅名乗降客数駅名乗降客数駅名乗降客数駅名乗降客数
大宮101,472春日部53,824運河13,025高柳12,153
北大宮5,374藤の牛島5,643江戸川台18,270六実11,386
大宮公園7,002南桜井11,018初石15,250新鎌ヶ谷32,927
大和田15,760川間13,136流山おお※45,043鎌ヶ谷17,955
七里15,644七光台5,629豊四季12,211馬込沢20,928
岩槻27,765清水公園3,428111,864塚田13,500
東岩槻16,418愛宕7,693新柏16,448新船橋11,186
豊春10,262野田市7,392増尾10,145船橋89,646
八木崎8,674梅郷12,870逆井10,948

※流山おおたかの森

  1. 実際に単線区間(春日部〜運河間)に乗ったところ、沿線は住宅街が多かった。

考察

A.「その区間の乗降客数が少ないため」は、野田線の乗り換え駅を除く駅の乗降客数を調べると、およそ1万〜2万人くらいの駅がほとんどであった。その中、単線区間の駅においては、乗降客数が1万人を下回る駅が10駅中5駅ほどあった。

B.「野田線はもともと単線であったため」は、野田から柏まで醤油を運ぶための単線の千葉県が建設した県営鉄道であった。

C.「乗降客数が増えた駅を複線にしたため」は、それもなくはないが、乗降客数が少ない駅でも複線の区間はあった。

港のある建物

低い精度で自動的に生成された説明

 

ホームから見た醤油工場(野田市駅にて撮影) 

感想

今回は、「なぜ東武野田線には単線区間と複線区間があるのか」について調べたが、野田線の本来の目的としては、野田の醤油を各地へ運搬するためであると、初めて知った。複線になったのは後からだとわかり、周囲の環境に合わせて複線になっているのが面白いと思った。

複線である駅でも、単線で間に合う駅もあると思うし、単線の駅でも複線のほうがいいのではないかという駅もあるので、引き続き調べていきたい。

参考文献

東武鉄道乗降客数(2020年度) 東武鉄道公式サイト 閲覧日2021年8月8日

https://www.tobu.co.jp/corporation/rail/station_info/

東武野田線 東武鉄道公式サイト 閲覧日2021年8月8日

https://www.tobu.co.jp/railway/guide/line/noda_line.html

『懐かしい沿線写真で訪ねる東武野田線 新京成電鉄 街と駅の1世紀』杉崎行恭