動機
以前雪で東日本の鉄道があまり機能できていなかったのを見て、大雪が降ったり寒さが厳しい北海道では車両や線路にどのような工夫がされているのか、また東日本の車両と冬場の対策以外にどの様な違いがあるのか気になったから。
仮説
1.雪の塊や氷がぶつかっても良いように耐久性がある。
2.東日本と比べて人身事故が少ないと思うのでスカートが東日本に比べると簡易的またはスカート自体無い。その代わりに雪かきを着けている。
3.線路自体に雪や氷が付着しないように何らかの工夫がされている。
検証方法
インターネットや本を使って調べる。
検証
今回は線路などに施されている対策と、車両自体にされている対策、その他に分けて調べていく。
線路などに施されている対策
⒈ 雪や氷塊でポイントの異常が起きることを防ぐために圧縮空気式除雪装置(圧縮した空気を吹き付けて氷塊などを飛ばしポイントの異常を防ぐための物)が在来線、新幹線合わせてJR北海道管内の147箇所についている
(上)圧縮空気式除雪装置[1](下)マットヒーター [2]
2. 融雪ピット
ポイント下部に箱型の空間を設けて雪を落とし、ピットの底のマットヒーターで雪を融かす。在来線、新幹線で同じくJR北海道管内の合計83箇所に設置されている。
3. バラストネット
バラストとは枕木の下部に置かれている砂利のことで、積雪時は車両に付着した雪や氷塊などが落下しバラストを巻き上げてしまう現象が起きるので、線路にネットを敷きバラストを巻き上げないようにしている。
車両にされている対策
1. 冬場は氷点下を超える北海道の車両は極寒の中でも走行に支障が出ないように、動作保証温度は-35℃〜+40℃、性能保証温度はー20℃〜+40℃となっている。
2. トンネル内で先程説明したバラストを巻き上げる現象が発生し、それにより窓ガラスが破損し乗客に怪我を負わせる事故が発生したため、110km/h以上で走行する車両の窓ガラスの外側をポリカーボネートで覆っている。
ちなみに、ポリカーボネートとは高い透明性、自己消火性を持ち、プラスチックの
中で1番耐衝撃性を持つもので、カメラレンズなどにも使用されている。
3. 床下機器カバー
バラスト対策の一環として、床下機器にカバーが付いている。これは、雪や氷塊を車両が基地に入区する際に除去していたが、かなりの労力を要し、また
除去しても再付着することから採用された。
(上)JR北海道の車両[3](下)JR東日本E233系1000番台 [4]
左の画像の床下部分にカバーが付いている。
4. ドア構造
室内への雪の吹き込みと戸袋内への雪の吹き込みによる開閉不良を防ぐために片引き戸となっており、特急型車両では高気密側引き戸を採用している。
東日本の車両の違い
JR北海道で1番在籍車両が多い在来線車両の731系とJR東日本のE233系1000番台で比較してみた。
(上)JR北海道731系 [5] (下)E233系1000番台[6]
スカートが簡易的ではないことや雪かきをつけているわけではなく、除雪車両が除雪を行うことから仮説2は違う事が分かる。
ドア構造の説明通り北海道の車両は片開き。
そして、これは私がJR北海道の車両とJR東日本の車両を見比べてみて思ったのだが、見た目が北海道の方が重厚な感じがしたので重量についても比較する。
編成重量 |
E233系1000番台 | 318.8t |
JR北海道 731系 | 100.0t |
しかし731系は3両編成、E233系1000番台は10両編成なので100に3.3をかけて
約330tとなる。この数値になるとは限らないが、E233系よりは重く、豪雪にも耐えやすいだろう。
その他
他にも、JR北海道では機械で除雪できないところを1日当たり1100人規模で昼夜を問わず除雪作業を行なっている。
トンネル内のツララ落としもしている。
考察
仮説1、3は合っていた。2は先程書いた通り違う。冬場の北海道は寒さが厳しく、トンネル内のツララ落としなど想像できないところまで安全に配慮されていることが分かった。
感想
JR北海道は経営が安定していないと聞いて安全などに対して十分配慮できているのかと思っていたが、それは違うと分かった。これからも安全に人々を運び続けていってほしいと感じた。自分は北海道の鉄道についてはまだまだ知らない事ばかりなので次は車両に焦点を当ててみたいと思った。
参考文献
「JR北海道における冬季対策について」閲覧日 2021年8月13日
画像[1]、[2]
【https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/info/press/pdf/20181211_KO_inWinter.pdf】
「ワンポイント講座 ポリカーボネート(pc)の特徴」閲覧日 2021年8月13日
【https://www.yumoto.jp/material-onepoint/plastic-polycarbonate 】
「〜雪・寒冷対策〜JR北海道の在来線車両における冬季対策」チェックの為に見たところ、現在非公開になっていました。
【https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201702257106219994】
「鉄道ファン 1997年3月号」閲覧日 2021年8月20日
【https://railf-library.jp/user/content/epubview?name=rf1997_03&index=30】
「冬季の安全確保の取り組み」閲覧日 2021年9月7日
【https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/safe/03.html】
画像[3]
「JR東日本E233系モハE233-1252 」 閲覧日 2021年8月21日
【https://railfile.jp/east/car/2009/05/m_e233-1252.html】
画像[4]
「京浜東北線・根岸線に新型電車を導入」閲覧日 2021年8月21日
画像[6]
【https://www.jreast.co.jp/press/2006_1/20060901.pdf】
「JR北海道 クハ731-107」閲覧日 2021年8月21日
画像 [5]
【https://raillab.jp/car/8898】