ワンマン特急について

動機

 「ワンマン特急」この言葉を初めて聞いた時、理解できなかった。おそらく読んでいる方々も同じであろう。新幹線を除いて一番格の高い特急列車がワンマン運転をするなんて普通は考えられない。なぜこのような運転方法になったのか不思議に思ったので、今回調べてみることにした。

ワンマン運転とは

 車両運行において車掌は乗車せず、運転士のみ運行されていることを表す。また、切符の抜き打ち検札のために添乗員が乗車している場合もある。

 英語では only one driver と表現される。(JR東日本)

*ワンマンの表記:車体全面や側面の案内表示で示されていることが多い。

ワンマン運転においての利点と欠点

利点

・乗務員が少なくて済み、人件費削減につながる

欠点

・運転手が車掌の仕事もしなくてはならなくなり、負担が大きい

・乗客が多い時間帯や地域を運行する場合、運転士のみでは対応しきれない

・無人駅がある場合、お金を払わずに乗車する「キセル乗車」ができてしまう

・走行中の乗客の対応ができない

なぜワンマン化したのか

 現在、全国の特急列車の中で「にちりん」「ひゅうが」「きりしま」のみがワンマン運転をしている。

・にちりん⇒博多/小倉~宮崎空港、大分~佐伯/宮崎

・ひゅうが⇒延岡〜宮崎空港

・きりしま⇒宮崎/国分〜鹿児島中央

 JR九州の線区別ご利用情報の2019年度の平均通過人員を見ると、上記の列車が走る区間で佐伯〜延岡間・南宮崎〜国分間は特に乗客が少ないことがわかる。

↑平均通過人員・旅客運輸収入

*平均通過人員とは、各路線の年度内の旅客輸送人キロ÷当該路線の年度内営業キロ÷年度内営業日数

 また、1987年度と2019年度を比較すると宮崎県内の路線ではすべての線区において、特に佐伯〜延岡間では約30年で2570人乗客が減っている。

↑線区別収支(平均通過人員が2,000人/日未満の線区)

↑JR九州赤字路線

 JR九州の線区別収支の表とJR九州赤字路線を表した地図を合わせて見てみると、日豊本線の佐伯〜延岡間と都城〜国分間の営業損益が大きく、赤字路線としても指定されていることがわかる。

まとめ

 この表から考えると利用客の大幅な減少が売り上げの減少につながっているということが1番の理由と推測することができる。また、宮崎県と大分県・鹿児島県を結ぶ重要な路線であるため廃線にはできないので、部分的なワンマン化に踏み切ったのだと思う。しかし、実際は787系4両編成での運用のみワンマン運転をしており、6両編成での運用は車掌が乗務しているようだ。

2018年3月17日のダイヤ改正より日豊本線の特急のワンマン化を開始した。

↑787系4両編成

参考文献

・JR九州 その他の特急列車

https://www.jrkyushu.co.jp/trains/sp/otherexpress/

・JR九州 平均通過人員・旅客運輸収入

https://www.jrkyushu.co.jp/company/info/data/senkubetsu.html

・JR九州 赤字路線

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/611870/

閲覧日8月22日