プチ大回り旅行記

はじめに

一年遅れの関西FWに行かず、流石にどこか行きたいと思うようになり、12月30日、簡単な大回りをして帰ってきた。

但し条件は3つ。①都内中心部(山手線沿い)には出ない、②ささっと4、5時間で帰ってくるようにする、③人の込み合わない時間(早朝)に一人で行く

以上の条件を自分の中で設けて、大回りすることにした。

そもそも大回りとは

JR東日本のホームページの「運賃計算の特例」(https://www.jreast.co.jp/kippu/1103.html)には、このように書かれている。

大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例

・図のそれぞれの大都市近郊区間内のみを普通乗車券または回数乗車券でご利用になる場合は、実際にご乗車になる経路にかかわらず、最も安くなる経路(※)で計算した運賃で乗車することができます。

※大阪近郊区間では、回数乗車券の設定がない区間・経路があります。

・重複しない限り乗車経路は自由に選べますが、途中下車はできません。途中で下車される場合は、実際に乗車された区間の運賃と比較して不足している場合はその差額をいただきます。(本文抜粋)

上に書いてある大都市近郊区間とは、以下の写真にあるように東京、大阪、福岡、新潟、仙台の5つがある。

上の内容をまとめると、例えばA→Dに行きたいときに赤矢印で行くこともできるが、青矢印で行くこともできるということ。赤矢印の方が青矢印よりも距離や時間は短いが、どちらのルートで行っても運賃は変わらないということ。但し長い青ルートで途中下車をすると特例は適用されず、通常の運賃を払わなければならない。

筆者の大回り(計画)

筆者は大宮周辺に在住するものである。というのは基本家から大宮、大宮の隣の駅である、北与野(埼京線)、日進(川越線)、土呂(宇都宮線)およびさいたま新都心(宇都宮線)に歩いて行ける距離なので、スタートは割と自由に決められる。

個人的には久しぶりに、気動車に乗りたいとおもっていた。気動車は内燃機関を動力源として用い、自力で走行する車両のことである。日本の気動車は、ルドルフ・ディーゼルが発明したディーゼルエンジン(軽油を使うエンジン)を用いているため、一般に「ディーゼルカー」や「気動車」と呼ばれている。私たちが普段乗る鉄道は分類上電車であり、これは電気を動力源とする。

気動車が走っている区間は、この東京近郊区間内では、小淵沢〜野辺山間の小海線と木更津〜上総亀山間の久留里線、高麗川〜高崎間の八高線の3つがある。ただ小海線と久留里線では大回りをすることはできない。なので実質大回りで気動車に乗れる路線は八高線しかない。

ということで、気動車に乗ることをメインに日進駅から旅を始め、日進→川越→高麗川→倉賀野→大宮の順に周ることにした。

日進 6:11発→川越 6:28着 543K

車両は川越線のE233系だった。始発列車から2本目の列車だったため、いい感じに人混みを避けることができた。反対側の新宿方面は帰省ラッシュということもあってか、スーツケースを持つ人や家族連れが多く見受けられた。ちょうど朝焼けの時間帯と重なり、南古谷手前の川越車両センターから出庫する車両と重なって映えて見えた。

川越 6:35発→高麗川 6:55着 677H

車両は川越線の209系だった。川越線は、大宮〜川越間と川越〜高麗川間に運用が分けられている。というのは、大宮〜川越間を走る列車は相鉄・埼京線、りんかい線と、川越〜高麗川間を走るほとんどの列車は八高線と直通しており、それぞれ車両もその両数も異なっている。さて風景も川越までは街中を多く走っていたのが、川越から先はちょっとした田園地帯を走る。その前日の晩も少し夜更かしをしていたため、列車に揺られているとあっという間に眠りに落ちてしまった。

高麗川 6:58発→倉賀野 8:20着 227D

さていよいよここから先は、今回の目玉である気動車が走る区間だ。車両は八高線のキハ110系だった。キハ110系は軽油を動力源とする気動車である。軽油は一般に自動車や鉄道車両、船舶などの乗り物に多く利用されるようだが、キハ110系は動き出すときバスと同じような音がする。筆者はあまり気動車というものに乗ったことがないので、筆者の中の気動車というと、この車両のようにバスと同じ音がするイメージなのだが他の路線も同じなのだろうか。

八高線以外の気動車というと、この辺りでは小湊鉄道やいすみ鉄道(両路線とも千葉県)、関東鉄道常総線(茨城県)、真岡鉄道(茨城県、栃木県)、わたらせ渓谷鉄道(群馬県、栃木県)、そして鹿島臨海鉄道(茨城県)など様々な車両があるので、コロナが落ち着いたらぜひ乗りに行きたい。

さて八高線は高麗川までの区間とはうって変わり、景色には山や川が多く見受けられる。澄んだ池の周りに木が生い茂った光景が、「赤ずきん」などの童話に出てきそうな光景で、美しかった。八高線は途中越生(東武越生線)や小川町(東武東上線)、寄居(東武東上線、秩父鉄道)など私鉄との乗り換え駅が多くあり、時々車窓から違う路線も見えたりする。筆者も越生にて通学でお馴染みの東武8000系を、寄居にて長瀞視察でお世話になった秩父鉄道の車両を見ることができた。

車両は2両と短かったが、特に混み合うことはなくゆっくり過ごすことができた。埼玉医科大学の関係者とおぼしき人たちが、高麗川の次の毛呂駅で降りると、その後は特に目立った乗客の動きは見られなかった。そうこうしているうちに、あっという間に倉賀野に着いた。

倉賀野 8:49発→大宮10:12着 1857E

8:28発の平塚行きがあったのにも関わらず、「1本ぐらい、いいや〜!」という安易な行動の結果、30分近く待つことに…。結局、自販機で買ったホットココアを飲みながら寒さをしのいだ。車両は高崎線のE231系だった。この車両は筆者がベビーカーに乗っていた時から一番よく利用している宇都宮線でも使用されている車両なので、非常に馴染み深い。

高崎線は個人的に駅メロ(発車メロディー)が面白いと思う。宇都宮線はほとんどの駅で同じものが使われているが、高崎線は例えば深谷では「おねぎのマーチ」、籠原や熊谷では「熊谷市歌」、上尾や北上尾では「上尾市歌」、北鴻巣では市の花をイメージとした駅メロなど、それぞれの土地のカラーが出ていて面白い。もし高崎線に乗る機会があれば是非、耳を澄まして聞いてみてほしい。

車内は倉賀野の時点ではほとんど人が乗っていなかったが、徐々に人が多くなり、籠原で後ろに5両増結して15両編成になったものの、埼玉の名称の発祥の地である行田を過ぎると立つ乗客も増え、混み合うようになってきた。今日乗ってきた路線で一番、速度を出す高崎線はやがて鉄道博物館を右に見ると、あっという間に大宮に到着。4時間のプチ大回りだったが、十分楽しむことができた。

参考文献

JR東日本「運賃計算の特例」最終閲覧日:4月27日

(https://www.jreast.co.jp/kippu/1103.html)

JR東日本「路線図」最終閲覧日:4月27日

(https://www.jreast.co.jp/map/)

日本民営鉄道協会「気動車」最終閲覧日:4月27日

(https://www.mintetsu.or.jp/knowledge/term/16356.html)